【考え】ベンチャー経営やってるなら資金難でもキワキワを攻めろ

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ベンチャー経営をやってるとキャッシュの残高推移にいつも恐怖を感じるわけだ。でもこれは君だけじゃない、どこの誰もが同じ経験を今もしてるから1人ぼっちじゃないし、君が無能なわけじゃない。

 

ぼく自信が経営しているベンチャーも、まだ投資を継続してるので5期目に入る今も月次レベルで赤字だ。妻子持ちのアラフォーともなると、キャッシュが減るとついつい、「次のファイナンスが成功する保証なんてないし、守りに入ったほうがいいのでは?」という思考がチラつく。

 

キャッシュがなくなった時点で経営は終わり!とよく聞くが、ぼくは別にそうじゃないと思う。経営者の闘志という炎が消えるまでは決して終わらない。

 

もしこのブログを読んでくれた君の闘志に薪を添えることができたら大変嬉しいので今日もここに書いてみる。しかも内容は綺麗事ではなく、ドロドロの本質論だ。

 

自分を一番大切に考えろ

約束されたファイナンス計画がまだなく、キャッシュアウトが近づいている時にはます、「自分が一番大切だ」と真剣に心と頭に刻むのだ。

 

社員やアルバイトのことを切らないといけないことは辛いことだ。だけどそれもこれも自分の為に犠牲になってもらうわけだからそれでいい。だって自分が一番大切だから。自分の闘志が消えてしまったら終わりだから。

 

この状態だと社会の為とか社員の為とか綺麗事言ってる場合じゃない。自分が再起する為に色んな人に犠牲になって貰えばいい。そして再起した時にまた呼び戻せばいい。(戻したい人、戻りたい人)

 

借入のある銀行からは早めに資金移動させとけ

借入のある銀行はキャッシュが枯渇すると、口座をロックしてくる。しかもその時は突然やってくる。

 

例えばこのような状況

 

・収入 : 200万円

・支出 : 400万円

・営利 : ▲200万円

・残キャッシュ : 400万円

 

この状況は単純計算で残り2ヶ月だ。なんとか2ヶ月以内に収入を増やすか、資金を調達するかの方法を考えないといけない。ハラハラドキドキしながら経営者は神経とストレスをすり減らす。

 

すると突然。ネットバンクが使えなくなる。「お客様のご利用は制限されています」見たことがないアナウンス画面が出てくるのだ。

 

銀行に問い合わせてみると、窓口が担当に代わる。すると担当は神妙な口調で、

 

「社長、、、ちょっとお話があるので、近々窓口まで来てもらえませんかね?」

 

こっちは社員の給与振り込みをしようとしたらできやかったので、「今すぐ行きます!」のふたつ返事だ。

 

担当に会いに行くと、

 

「社長、大変お伝えしにくいのですが、当行の判断で口座ロックさせてもらいました。残金は当行貸付の返済に回しますが、その後の返済計画、および事業のご計画を含めて、ドキュメントに早急にまとめてご説明願えますか?」

 

後ろから突然刺されたのも同然だった。口座はその日からロックされてしまい、給料を払うことも、現金を引き出すこともできなくなった。

 

守るな!キワキワを攻めろ

コストダウンや支払を遅らせたところで、本質的な問題は解決しない。もう自分でもわかってるはずだ、「売上を上げないといけない」と。

 

だから守るな。頭をクリアにして、冷静に攻めろ。ここまでやってきたことを振り返ればチャンスが見えてくる。

 

僕がお勧めするのは、残された時間で売上を上げる為には、新しいことをやるより、過去にやったことがあることを選ぶ方が成功確率が高くなる。

 

過去にチームでやろうと思ったけど、忙しくて結局最後までやりきれなかったこととかだ。

 

また、既にプロダクトやサービスをリリースしている状況ならファネルを再三再度見直して即効性のあるポイントをテコ入れするのもおすすめだ。例えば会員登録だけしてて、まだ利用していない見込み客が沢山いるなら彼らに積極的にアプローチするだけで売上に貢献できる。(しかも即効性がある)

 

ファイナンスは諦めるな!金は余ってる!ロジックで突破できるVCもたくさんいるぞ!

足元の数字(トラクション)が伸びてなくてもチャンスはある。シード期を過ぎると多くのVCがトラクションの成長をベースに議論を展開してくる。

 

成長率が高いことは大きな武器になるが、どうだろ?8割くらいが「微増っす!そんな伸びてないけどキャッシュ無くなりそうっす!」だろう。

 

ファイナンスは諦めなかったら終わらない。どんなバリュエーションを付けようが、乗ってくるVCは必ずある。ひたすらVCの門を叩くのだ。ちなみに今は資本生ローンも比較的通りやすくなってる。コロナ特別なんとか資本生ローンでうちの会社も6,000万ほど借りたが、デッドなのでダイリューションもせず、まとまった資本が手に入るのでおすすめである。

新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)|日本政策金融公庫

 

【失敗談】1人目の広報PRメンバーを採用する時に注意すべきこと

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ベンチャー企業にとって、広報PRの仕事はとても重要だ。特にプロダクトやサービス自体の認知度が低く、検索ボリュームがない場合は更に重要度が増す。

 

そんな中、ぼくは大きな失敗を経験した。1人目の広報PRメンバー(正社員)がたった半年で退職してしまったのだ。その理由と、そこから得た経験をまとめてみようと思う。

 

1 / キャリアと人脈で採用を決めた

広報PRの仕事は創業以来ずっと社長である自分がやってきた。と言っても経営業との兼任なので自らガシガシ動いてたわけじゃない。インバウンドで入ってくる各種メディアからの取材依頼を捌いてた感じ。時に、広報プロ人材の人に助けてもらいながら自分で書いたPRtimesのリリース原稿をチェックしてもらって、配信予約する。

 

こんな感じで2年ほど自分で広報の仕事をやってると、こんなことを考えるようになってきた。

 

・人脈があってメディアキャラバンしてくれる人欲しい

・キラキラ広報とか憧れるな

・広報戦略を立てて中長期でPDCA回してくれる人が欲しい

 

そんな中、Wantedlyに気になるエントリーが入った。その人は30代男性で元テレビ局のアナウンサーだという。確かに名前で検索してみると彼がアナウンサー時代に活躍していた様子が次々に出てくる。これは人脈が期待できそうだとカジュアル面談をしてみることに。

 

面談当日も彼の輝かしいキャリアと、圧倒的なメディア人脈にヨダレが止まらなかった。今までずっと1人で広報をやってきたので、今すぐにでも助けて欲しいと感じてたこともあり、すぐに採用を決めた。しかし実はこの時からちょっとだけカルチャーフィットに不安を感じていた。

 

2 / 次から次に増えるメディア露出

彼の入社後すぐにキー局、地方局での情報番組取材が決まった。どうやら入社前から仕込んでてくれたらしく、テレビだけでなく新聞や雑誌、Webメディアなど次から次に露出が増えていった。

 

彼は非常に熱心に仕事をしてくれた。毎回取材対応の後に30分ほど時間をとって、ぼくにメディアに対する話の組み立てや、表情の作り方、言葉選びなどのフィードバックをくれた。そのおかげで短い期間でずいぶん自分も成長したと感じた。そんなことがずっと続き、ぼくのスケジュールは取材で埋まっていくことに。

 

3 / 次々出てくる違和感

彼が入社して3ヶ月が経過した頃。ポロポロと違和感が出てくるようになった。

  • 会社が有名になるより、自分が有名になりたい!
    ことの発端は彼が前職で務めていたテレビ局の情報番組で取り上げられた時だった。スタジオ収録に彼が出てたのだ。それ自体は別にいい、ただぼくも知らないうちにスタジオ収録があったことと、彼の肩書きが「代表取締役社長CEO」となっていたこと。最初は局側の間違いだと思ったが、スタジオトークが進むうちに、美人アナが「まさこんな素晴らしい会社を先輩の○○さんが創業してたとは知りませんでした!」とコメントを振ると、彼は堂々と「いえ、創業期からたくさんの苦労があったので、決してかっこいいとは言えません。今となっっては創業期から、ぼくを支えてくれた社員のおかげです」とコメントした。

    流石にそれを見て、「えっ!?今なんて言った?」と声が出た。帰ってきた彼にその真意を聞いてみると、「いいじゃないですか、ぼくは元アナウンサーだったので有名になりやすいです。ぼくが有名になれば、会社も有名になる。一石二鳥です。」

    しかも彼は、ぼくや会社に黙って「代表取締役社長CEO」という肩書きの名刺を勝手に作っていた。 

  • 10万円を超える接待交際費の領収書が多発
    経理担当の女性メンバーから相談がった。「この領収書って、ご存知ですか?」
    見てみると彼が1発10万円を超える接待交際費名目の領収書を4枚ほど精算に出していた。当時会社に経費に関する具体的なルールは存在しなかったが、ベンチャーって普通そんなのない。何が正しくて何が悪いのかは会社のカルチャーが示してくれるので、それに大体みんな合わせてる。

    だけど彼は10万円超えの領収書をバンバン提出するようになった。すぐに問いただしてみると、「カンブリア宮殿のディレクターとキャバクラ行きました!あと少しで落とせるので待ってください」と言う。

    しばらくしてぼくは彼にそのディレクターと合わせて欲しい。とお願いすると、気まずそうに話をそらし続ける。領収書に記載されてる名前のキャバクラに行って、彼のことをキャバ嬢に聞いてみると、「あーあの社長さんね!?最近大学の後輩くんを連れてよく来てくれてますよー。同じ会社の人なんですね?」とのこと。

  • 会社のメンバーから続々と嫌われ始める
    会社に取材が入った時のこと。彼が現場のメンバーに「これからカメラ入るから、電話対応中の画を撮るので頼むね」とCSメンバーに声をかけると、「え、いや無理です」

    今までそんな露骨に我が社のメンバーが誰かを嫌うことがなかったので、そのやりとりは正直驚いた。それでも彼はめげずに、「そっか。じゃあ○○さん、お願いしますね!」と軽やかに別のCSメンバーに頼んだところ、「あの、もうちょっと事前に相談するとかできませんか?私たちも通常業務があるので、いつどれくらいの時間、取材対応が必要なのか教えてもらいたです。今日は無理です、自分でやったらどうですか?」

 

5 / 1人目の広報PRメンバーを採用する時に注意すべきポイント

最初に伝えるが、これは決して彼が悪いわけじゃない。全部自分が悪い。会社のカルチャーに合う、合わないがこんなに大切だとよく分かった機会だった。

 

この失敗から、ベンチャー企業における1人目の広報PRメンバーを選ぶ時に大切な視点をまとめる。

 

  • 社内の誰からも好かれる人がベスト
    正直なところこのポイントが一番大切だと思う。広報PRというポジションは現場メンバーの協力を絶対的に必要とする。テレビなどの取材は今日、明日レベルの特急で入ってくるので、その都度現場に通常作業を止めて取材協力してもらう。この時に「あなたからのお願いなら協力するよ!」となるべきだ。

  • 社外広報よりも社内広報
    アルバイト、業務委託も含めて20-30人くらいの組織規模になると社内広報がとても大切だ。毎月誰かにスポットライトを当ててメンバーを取材し、それを記事にして社内広報として紹介するとか。とにかく定期的に社内の情報を全メンバーに届ける。これを続けることでちょっとした組織のチグハグが防げる。こうしたちょっと恥ずかしくてダサいことを進んで音頭を取れる人がベストだ。

  • 会社やサービス、お客様を大好きな人
    ベンチャー企業における1人目の広報PRメンバーは誰よりも会社が好きで、そこで働くメンバーが大好き。そしてサービスやプロダクトを愛してて、それを利用してくれるお客様のことも大好き!誰よりも一番のファンであるというのが理想的。だからこそ社外に対して正しく言語化されたPRが可能になる。

  • 広報PR業務にプラスして別の業務も兼任する
    今回の失敗は彼に広報PR業務以外何も任せなかったことも原因だと反省してる。広報PR業務とマーケ業務とかもう1つの兼務があれば、「あいつ何やってるの?」という社内の違和感はなかったかもしれないし、彼から広報PR業務を取っ払ってもマーケメンバーとして活きる道が残されていたかもしれない。

 

結局のところ1人目の広報PRメンバーはスキルではなくスタンスやマインドの部分が非常に大切なんだということを今回の失敗からよく学ぶことができた。

 

最近だと広報コンサルティング的なサポートサービスや、フリーランスで活動してるプロ人材もたくさんいるので、スキルセットの部分はこうしたものの活用で補える。

 

 

 

【自己紹介】アラフォーでベンチャー経営やってます

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20代の頃、アメブロをほぼ毎日更新してた。あの頃はブログで仕事が受注できる時代だったので、当時勤めてたコンサル会社の社員は必死になってアメブロを更新してたな。ぼくもそのうちの1人だった。

 

それから10年ほどが経ち、現在はアラフォーで創業5年目を迎えるベンチャー企業の経営者をやっている。プライベートでは結婚11年目を迎え、元気で健康な子供3人に恵まれた。

 

さて、なぜそんな自分がブログを10年ぶりに始めようと思ったのか?

それは「趣味が欲しい」「本音を綴る場」という2つの目的のためだ。

 

・趣味が欲しい

ベンチャー経営というのは想像以上に大変だった。創業して最初の3年くらいで過去に趣味だったもの全て失われ、と同時に友達もいなくなった。ふと少し時間ができるようになると、「暇だな」と感じる瞬間がある。そんな時にブログを書こうと思う。

 

・本音を綴る場

このブログでは一旦、自分の正体を隠しておくことにする。まぁ読む人が読んだら気づくとは思うけど。正体を隠しておくことで、ガチな本音が綴れるタイプなので、ここでは包み隠さず(正体隠してるけど)本音を綴ろうと思う。

 

ただし、誰かの悪口や否定的な文章を書くつもりはない。どちらかというと教訓や成功、失敗談など。読んでくれた人の心に刺さるように素直なメッセージを綴るというイメージで捉えていただければと思う。

 

▼ 宇川温泉よし野の里で執筆

ukawaonsen.jp